2019.11.25(月)
閑話休題。
藤原定家の明月記の中の有名な「紅旗征戎吾が事に非ず」の本来の書は、漢文って知ってました?
藤原定家は新古今和歌集の選者でもあり、和歌の実作者として、また和歌の親玉、日本文化の牽引者である。
私は長いこと、その日記も当然、和文で書かれていると思っていました。
色々なところで、引用されるこの言葉は「紅旗征戎吾が事に非ず」と記載されています。
しかし、自筆書によれば、明月記は漢文で書かれているのです。
私がこのこの言葉に出会ったのは50年以上前、何かの雑誌に掲載された野口武彦の恋愛小説であった。
江戸文学の詩と真実の著者として注目していた。
この人は将来大変な人物に成長するなと判断した。
小説はその後、書いていないのでは。
著作も興味ある内容が多々あるが、残念ながら私の期待とは違っていた。
明月記、治承四年九月の項に
世上乱逆追討、雖満耳不注之。紅旗征戎非吾事。
と書かれています。
きのう、成城の古本屋、キヌタ文庫で、芭蕉自筆本 奥の細道を求めた。
自筆本に関心が向き、定家の本を再度開いてみたところ、
明月記のこの部分の自筆記を発見。漢文を確認した訳です。
写真:
・明月記、治承四年九月「世上乱逆追討、雖満耳不注之。紅旗征戎非吾事」
・明月記は定家19才から晩年まで、長い長い記録だ。
そのため、一つにまとめられているのでは無く、
幾つかの断片がある。
「明月記切」と呼ばれ、書家に珍重され、写真復刻がある。
これもその一つ