DONのヨット暮らし

Mais ou sont les neiges d'antan?

番外編、陶器と古書

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2014.12.17(水)
えー、陸に上がって、忙しく家のことをアレコレやってます。
その合間をぬって、陶器展へ。
「てっぺい」氏から桃居での小野哲平展の案内。
小野哲平さんは私が今、最も注目する陶器作家。
桃居は東京で、とういうことは日本で陶器作家を紹介する最も優れたギャラリーと言える。
六本木の今は西麻布と呼ぶ霞町へ。陶器の好きな長女も同行。
縦に刷毛目の着いた新しい作品。
色々、作品を見たが、今回は大きな作品に強く引きつけられる。
少し予算オーバーだが、大きな鉢を購入。

桃居を出て、歩いて元麻布のKAIKAIKIKI Galleryへ。
小嶋亜創 陶展のオープニング。
私はこの作家は知らなかった。
現代美術の村上隆がオーナーのKAIKAIKIKI Galleryで陶器作家の展覧会が開かれるのは3回目だ。
一回目が小野哲平。二回目が村田森。
三回目が今回の小嶋亜創。
すべて、オープニングに行く。
3回とも広いギャラリーがいっぱいの人出。
今回は、かなり多彩な作品群。
やや民芸品の趣あり。
湯呑を購入。

昼は六本木の香妃園。
以前の場所に無く、娘が携帯で探すと瀬里奈のトイメン二階に引っ越していた。
これで2回目の引っ越しだ。
名物の特製鳥煮込みそば。二人分が大きな土鍋に入って出てくる。
前に変わらず、うまい。

薄暗くなってきた。一人では無いので、真っ直ぐ家に帰る。

古本。
渡辺一夫「白日夢」、とリラダンのトリビュラ・ボノメ
私は十日に一辺ぐらい成城の古本屋「キヌタ文庫」に寄る。
ここは、かって多く有った本格的古本屋。
いつも、棚が入れ替わっている。
いままで、色々な本をここから仕入ている。
一葉の最も本格的な全集、筑摩書房版もここで購入した。
今回、棚を見ている内にふと、渡辺一夫の名前が目に入る。
懐かしいなー、と手に取り「白日夢」を購入。毎日新聞社発行、現代日本のエッセイ。昭和48年発行。
渡辺一夫はフランス文学者。東大仏文の教授。辰野隆の弟子。
渡辺一夫の名は優れた翻訳者として知っていたが、随筆は読んだことは無かったと思う。
読んでみて、大変な人物であることを知る。立派な人物だ。
辰野隆も立派な人で何冊も著書を持っている。
さすが、辰野隆の弟子とうれしくなる。
今、辰野隆渡辺一夫の様な人がいるのだろうか。
ただ、見えないだけなのか。
そういえば、家に渡辺一夫の翻訳があるのではないかと本棚を探す。
ありました。
リラダン渡辺一夫訳、トリビュラ・ボノメ。白水社昭和15年発行。
フランス綴じ。1ぺージ毎、ナイフで切って行く。
購入したのはもう50年の昔。
古本屋の棚に燦然と輝いていた。貧乏学生の私には飛び切り高価だったと思う。
思い切って買ったのだ。
古い高揚に囚われてはいけないと、大くの書物を処分してきた。
トリビュラ・ボノメに特別の思い込みは無かったが、捨てきれなかったのだろうか。
ボードレール全集さえ処分したのに、残っているとは、これも縁であろう。
ゆっくりトリビュラ・ボノメを再読してみよう。
皆さん、リラダンて知ってましたか。リイルアダンとも訳される。
フランスの特別の作家として、古本屋の棚には美しい装丁の本が
買いたくても買えない値段で輝いていまいした。
大昔の話ですがね。

梁塵秘抄
これは半年ぶりに家に帰り、すぐ神田まで買いに行った。
珍しい本。
学校で習うので日本人ならたいてい知っている梁塵秘抄だ。
しかし、これについては物語がある。
江戸時代以前は書物は印刷では無く、手書きの書写として伝わって来た。
後白河法皇御撰の梁塵秘抄というものがあることは徒然草その他に名がみえることから、
知られていた。
しかし、群書類聚での一部以外、その写本は存在せず内容は不明であった。
明治四十四年和田英松博士が古書展だかでたまたま見つけた内容不明の写本を
歌だからと友人の佐々木信綱に託す。
佐々木信綱はこの写本を長年にわたって調べ研究した結果、実は梁塵秘抄であったと突き止める。
その成果を学会に報告することで学会を越え、詩人その他世間を巻き込んだ大発見と騒がれる。
以後、現在に至るまで他の梁塵秘抄写本は一点も発見されていない。
古書の世界で言う真さに弧本である。
和田本と呼ばれるこの写本をそのまま刻印した本を手に入れることがことが出来た。
好学社、原本複製 梁塵秘抄 昭和二十三年発行


写真:
・左、小野哲平の鉢。右、小嶋亜創の湯呑。
 小嶋亜創の湯呑は展覧会場でより家に帰ってみるとズット良い品でした。
・私が毎朝お茶を飲むときに使う湯呑
 最初の一杯は右の小さい湯呑。後は左湯呑。
・フランス綴じのトリビュラ・ボノメと渡辺一夫「白日夢」
・好学社、原本複製 梁塵秘抄 昭和二十三年発行