DONのヨット暮らし

Mais ou sont les neiges d'antan?

53マイル(96km)を航海し福田港に到着

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2007.11.8(木)
三重県の安乗港を出発し愛知県を飛ばし静岡県の福田港に到着。
53マイル(96km)の航海であった。6時12分に安乗港灯台前を通過し、3時40分に着岸。

私のヨットによる船旅は予定にあまりこだわらない。行きたいと思ったところに行く。居たい所には何時までも居る。という旅だ。その結果、沖縄まで行ってしまった。また、先のことは全く考えずに沖縄からトカラ列島を渡り、九州西岸の船旅を楽しみ、寄ってみたいと思った甑島五島列島にも行き、壱岐も訪れた。瀬戸内海でも寄りたいと思ったところには寄ってみる船旅を続けた。

ところが瀬戸内海の後半の旅ごろから朝、日が昇るのが遅くなり日が沈むのが早くなり急速に日が短くなって来た。これは昨年、沖縄に居た時には全く念頭に浮かばなかった事柄であった。11月末なのに久米島に行って、13日間も波浪注意報が出っ放しで、いったいこれで沖縄本島に帰れるのかと懸念した時も日の短さなど全く気にすることは無く、一日だけ強風波浪注意報が解除になった日に座間味島にもどり、性懲りも無くまた周囲の島に寄ったりして沖縄本島に戻ったのは12月の13日であった。現地の人もヨットに乗らなくなっているのにマー良く乗っていた。

この、日が短くなることと共に気になるのが、この先、北風が強まる季節へと入ることになることであた。
そこで10月中に潮岬を越えたいと思うようになった。初めて、少し先のことを考慮し始めたことになる。そこで私は今回の船旅では、その地に最低2泊するというルールを外し、1泊で移動する場合も出始めた。潮岬を10月中に越えるためである。

結果として最大の懸念である潮岬は予想を遥かに越えて穏やか海況で通過することが出来た。
実はその次に頭を行き来するのが安乗港から福田への航海であった。その手前の布施田水道と難所大王埼越えも最新の注意を払ったが、その次の安乗港から福田港への移動が大きな課題であった。

日が短い。朝6時は未だ日が昇るには1時間ぐらいあり明るくなり始めるといった時間である。夕方5時はもう暗い。この日が短いことが安乗港から福田への移動の問題点である。距離が53マイル(96km)ある。速度5ノットで行くと約11時間である。6時に出港できたとしても17時になってしまう。これでは暗くて良く見えない。朝暗い内に出ることも考えたが安乗港は行きと今回の2回しか知らない。暗い中で移動するのは危険が多すぎる。また、アンカーを打って槍着けしているのでアンカーを揚げる時間も見る必用があるし、スムーズに揚がらない可能性も高い。

また、福田港は昨年下る時、天気予報で静穏な海のはずが波が高く、港が波に隠れ全く見えなかった。300m位まで近づいてよおやっと確認できた。遠州灘は波が高くなるので有名な上に実に入り難い港である。静穏な海況で航行する必用がある。海が荒れた時の避難港は無い。引き返すには遠すぎる。

などなど、考慮すべきことが多い。特に暗くなってしまったらどうるすかというのが最大の課題である。
いろいろ検討した結果、何しろ見えないことにはどうしょうもないので
1)晴れている日を選ぶ。朝明るくなるのが速く、暗くなるのが遅い。
2)セイルとエンジン両者を利用し速度は6ノットを目指す。
3)風、波は穏やかな日を選ぶ
4)直ぐ出港出来る為の全ての準備を朝5時までに終了する
5)南の風の場合は出港しない

以上を決める。
1)の晴れている日で無く、曇っていると6時半でも暗くてよく見えない。
2)私はエンジンをかけているとき時はどうもジブを上げるのがいやなのだが今回はセイルはフル展開して且つエンジンを最大限利用する。ただし、いつもの様に2000回転とする。
3)避難港も無く、引き返すことも出来ない。穏やかな日を選び安全な航海を第一とする。
4)全ての準備を完了し、夜が明け始め廻りが見え始めたたら、直ぐ出港の行動をとる。
ことにする。
5)秋には南の風は先ず吹かないのでこれは考慮しなくて良い。

五ヶ所湾の志摩ヨットハーバーを出て安乗に向かう時から、安全に布施田水道と大王埼沖を通過することと共に、次ぎの日が良ければ福田に移動することが念頭にあった。前日は波3mで波浪注意報。当日5時の予報は波2m後1.5m。翌日は波1.5m。強風波浪注意報の次ぎの日は解除になっても波はいつも高い。1時ごろ安乗港に着いて直ぐしたことは1、あさってまでの予報が出る11時の天気予報をみることであった.あす、波1.5m。晴れ時々曇り。あさって波1.5m。曇り。予報が変化しなければ明日は移動可能である。
夕方5時の予報。11時と変わらず。ただし、時系列予報では浜松の風が9時~12時は6m~9mとなっている。灯台の気象現況を見る。伊良湖船舶通航信号所のみは赤い強い風。気象が変わらないかぎり移動可能である。いままでの経験であさってまで穏やかな予報の場合は次ぎの日は先ず、予報にそう変化は無い。大丈夫だろうと寝る。

3時20分起床。
4時過ぎに食事、トイレを狩猟する。私はどうもゆっくりトイレに入らないと落ち着け無い。
5時10分、朝5時の天気予報を見る。今日明日とも波1.5m。大王崎、伊良湖船舶通航信号所、舞阪灯台御前崎灯台の気象現況を確認する。伊良湖船舶通航信号所のみ黄色の8mの風。
前もやいを1本にして、外せばすぐアンカーを引けるようにして明るくなるのを待つ。5時半は真っ暗。
東の空を見ると、雲も多いが低い山の向こうの水平線に近い方に雲は無い。晴れである。
少しずつ明るくなる。5時50分に前もやいを外す、ゆっくりとアンカーロープを引く。アンカーが揚がらなかったら、その処理に30分ついやすことに決め手ある。すこしずつすこしずつ引く。後、5m程度でアンカーが何かに引っかかっている感触、ぐいと再度引く、さっと軽くなる。アンカーがスムーズに抜けた。チェーンを手繰り寄せ、アンカーを引き上げる。。艇を風上に立てアンカーを船に固定し、前もやいを整理し収納する。ゆっくり薄暗い港内を移動する。
安乗港の白灯台の前を6時12分に通過する。福田に向かって出港だ。

港全体はまだ薄暗い。
2ポンにセットしてあるセイルを上げ、的矢港の外へ出る。福田までのコースは1本だ。約10時間ズット同じコースを辿ることになる。風は伊勢湾沖の強風がチョット気になったが、波が少し高いだけだ。スプレーを時々浴びる程度。遠州灘の沖は潮もあり、5ノットを切ることを心配したがセイル+エンジン2000回転で6ノットを越し、順調に進む。

東側に島のようなものが見える。海図を確認する。島なんか無い。巨大船だ。未だ日が昇らないが明るくなった空を背景に影絵のようになって見える。

7時半ごろ水面が一面銀色に変わる。金属で出来た海面に見える。

巨大船が急にコースを変え、こちらに向かってくる。やり過ごせるか望遠鏡で何度も見る。少しコースを変えやり過ごせると判断する。
と叉、急にコースを変え、この船に真っ直ぐ向かってくる。何しろ大きさが大きいだけ幅も広い。このままではぶつかる。オートパイロットをスタンバイに変え、手でティラーを持って後ろに引き返す。進んで来る巨大船の左舷側に沿って逆方向に進み、やり過ごし、巨大船の船尾を廻っててコースを元に戻す。多分、この船はヨットなどいるとは考えず全く外は見ていないだろう。

海のど真ん中にえつけの印の旗、竹ざお、ダイダイ色のスチロールがいくつもある。いつも廻りを気をつけているが、気が付かずに2度ほどぶつかりそうな至近距離を通過する。

雲というのは移動していくものだと思っていたら、気が付いたらいままであった雲が消えてしまった。青空となる。

10:00風が落ちてくる。セイルをフルメインにし、ジブも最大にする。
まだ、6ノットを越えている。

11:00風が北から北東に変わり、真のぼりとなる。これからはエンジン力と潮との戦いとなる。
0.5ノット程度の逆潮になる。5.5ノットは出ている。
11:30真後ろ、右舷側を本船が直ぐそばを追い抜いて行く。近づいてくるのに全く気が付かなかった。左舷側に座っていると右舷後方は死角になる。あぶないあぶない。

12:00出港後、約6時間。残り調度20マイル(32km)5ノットで行ければ4時には着ける。11時ごろまでの速度でかせげた。順調と言って良い。潮の影響が小さいよう望む。

今日は晴れているが薄いくもがかかっている。この状況でさえ3時でもう明るい感じはしない。

福田港へ次第に近づく。
しかし、港は確認できない。何しろ見え難いのだ。最初、ズット先をそうだと誤認していた。よく雑誌にでてくる太田川の白い大砲台の様な変な水門は西からアプローチすると影になって見えない。

直ぐ左手の先が福田港の防波堤と解る。勿論、GPSで見ながらでそうなのだから、福田港は本当に見つけ難い港だ。

2艇、漁船が港に入って行く。西から入る様子は防波堤を過ぎ少し進んでから突如直角に曲がって防波堤の裏に消える。ヨットはズット沖から大回りして港の奥が見通せるところまで進んでから防波堤に沿って入港する。
もう、波も静かになっているのに入口だけ波が高い。
風が弱く港の中は静かだ。

これで3度目の福田港だ。いままで2度留めたところとその奥の新しく出来たヨットも係留できるところを廻ってみる。今は北風が多いのでいつもの所にスターンアンカー、槍着けする。

泥の台地だったところが一面舗装され、新しくトイレらしきものも見える。すっかり様変わりしている。水際の公園にするのか。あいかわらず釣り人が多い。

3時20分に接岸できた。5時50分出港後、9時間半である。平均5.6ノットであった。
とにかく、明るい内に着くことが出来た。なによりであった。

上から2つ目のメインセールとスライダックを結んでいる帯が切れた。以前もう少し下ほ帯が切れ、これで2個目だ。ここで修理しよう。

うす雲がかかっているが夕日が見える。
後片付けをし、航路のトラックをハンディGPSからパソコンに写す。
船を降り15分ほど廻りをあるくが暗くなってしまう。

きのうのうちに予定して作っておいた夕食にする。
今日は予定どおりの行動をとることが出来た。

写真:
・ようやく昇って来た朝日
・こちらに向かって来た巨大船の後ろ姿
・福田港の防波堤。 写真で見ても浜との区別が分かり難いでしょう。