DONのヨット暮らし

Mais ou sont les neiges d'antan?

浸水

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2015.6.1(月)
久之浜を出て、穏やかにな天候の中、1時間弱、5マイル位進んだとところで、
きのうコンビニで仕入れたチーズをつまもうと、船内に入って驚愕。
重い檜の床板ががぼがぼに全て浮いている。
艇内に浸水。すでにかなりの量だ。靴が水に浸ってしまう。
ECHO POINTには有名なアンダーソンのポンプが2機供えられている。
ポンンプを動かすパイプを取り出し、デッキにでて、排水に着手。
猛烈にポンプでくみ出すが減らない。
これはバケツしかないと、艇内に戻りバケツでくみ出し外に捨てる。
しかし、減るより増える方が多く浸水は増加する。
どうするか。
118に電話して曳航してもらうか。
いや、これは海上保安庁が来る前に沈んでしまう。
自分は救命胴着を着け、ここで、船を沈めるか。

ここで、斉藤実さんの船を捨ててはいけないの言葉がよぎる。
原因を明らかにしなければ。
全てのコック、冷却水取りいれ口、ヘッドの入りと出、シンク排水口を閉じる。
冷却水のホースの破れかと最初思ったが、水の中で良く見えない。
コックを閉めても浸水はドンドン増える。

一体何が原因の浸水か。艇に穴が空く様な岩との接触も無い。
残る水との接点を考えるとエンジンシャフト部分しかない。
スターンチューブと船体を連結しているホースが破けたか。
それにしたは浸水の速度が速すぎる。
デッキに出て、ハッチを外しエンジンルームに入る。
スターンチューブを点検しようとするが、すでに全体が水の中で良く見えない。
と、スターンチューブのホースを締めるステンレスのホースバンドが落ちているのが目に入る。
ホースが緩んだのか。それにして水の量が多過ぎる。
水の中に手を入れ、ホースの根元を触る。
ナント、猛烈な勢いで水が入ってくる水勢を手に感じる。これが原因だ。

ホースバンドは根本2本、スタンチューブ側2本で締めている
根本の残りバンドを下にずらし締め直す。
水は止まりはしなかったが、水勢はズット少なくなる。
ホースが水から出るまで。スタンチューブ廻りの水の排出に専念。
ホースが水上に出てきたところで根本の船体の色が白い。
ホースバンドが一本外れているだけでなく、船体から上に移動しているのだ。

水がドンドン入ってくるが、覚悟して、全てのバンドを緩め、下に引っ張る。
動かない。大きなマイナスドライバーでホースの先端を叩く。
少しずつ下にホースが移動してくる。続ける。ホースが所定の位置まで下がる。
外れたバンドは新しいバンドに替え、4本のホースバンド固定。浸水ストップ。

排水作業開始。エンジン回りと、バッテリー連結線部分のみ先ず排水。
これで行動開始出来る。床板は未だぷかぷか浮いたままだが、8時20分、航海再スタート。
相馬港、松川浦漁港を目指す。
浸水発見から処置完了、再スタートまで、約2時間。

船体に入っている水は相当の量だが港に着いてから出そうと予定したいた。
しかし、海況は穏やか、アビーム、後、追って寄りと快適に帆走。
今日の航海は44.2マイル(80km)と長丁場。時間をロスしたのでエンジンも加勢させたが、安定して走る。
時間はある。前方に船その他がいないかチェックして船内に入る。水くみ出し。
バウよりはヘッドからスターン寄りはコンパニオンウェイから、
いったい何百敗の水をくみだしたろう。
床の板もチャント納まり、荷物を底まで多量に取り出す必要のある両側バース下を残して、水取り出し作業完了。

私の40年のヨット歴で最も大きな人命と船の危機であった。

追記:
浸水の原因。
1)スタンチューブを締めている上2つ下二つ、計4つのバンドの一番下が外れる。
2)船体への締め付けが弱まり、エンジンとシャフトの振動と共にホースが次第に上にせり上がる
3)ホースが上にずれた為、ホースの下端から水が多量に入る
#当初、ホースバンドが振動等で外れてしまったと判断していた。
 外れたホースバンドをチェックしたところ、外れたのでは無く、切断していた。
 全体ステンレスのホースバンドだが、塩水により錆びが発生していた。
 錆びに寄る劣化が原因の切断と思われる。
 ホースバンドは時々チェックし、錆びが出てきた場合は新品と交換した方が良いと解る。

写真:
・切断したホースバンド
・スタンチューブ全体(後日撮影)